H26過去問 弁理士 論文 特許法 【問題Ⅱ】 2.

 甲は、発明イの技術的範囲に属する靴cを国内で製造販売している。

 丙は、一般消費者によって使用されることにより靴底が磨耗しているものの、靴底以外の部分は新品に近い状態の靴cを回収し、靴cの靴紐の穴の構造を変えずに、靴底部分を新品に貼り替え、リサイクル品である靴dとして販売している。

 また、一般に、業者が靴の靴底部分を貼り替えてリサイクル品として販売することは広く行われている。

 甲は丙を被告として、特許権Pに基づき靴dの製造の差止めを求める訴えを提起した。丙が請求を棄却する旨の判決を得るためにすることが考えられる主張を挙げた上で、その主張が認められるか否か、述べよ。


 「リサイクル」のヒントから、判例(BBS事件、インクタンク事件)の可能性をメモして先に進む。

 インクタンク事件で判事された要件への当て嵌めさせる問題で、難しい設問となっています。要件としてはキーフレーズとなっている「新たな製造」への該否を挙げ、本問では「一般に広く行われている靴底部分のみの貼り替え」は補修行為である新たな製造に該当せず、よって非侵害の主張が可能であると論述すれば良いでしょう。


【最判平成19年11月08日】インクタンク事件

 同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許されるというべきである。そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当であ(る)。

 

設問1.(2)について、

1.考えられる主張

 (1)消尽の要件定立

 (2)理由

2.要件検討

 (1)直接当て嵌め(消尽)

 (2)「リサイクル品の消尽」について、

  ①要件定立(判例)

  ②当て嵌め、結論

 3.結論(認められる/認められない)