H26過去問 弁理士 論文 商標法 【問題Ⅰ】 (2)

(2)登録主義との関係において、いわゆる先使用権が認められている理由を述べよ。

 単なる「先使用権制度の意義」ではなくて、「登録主義との関係での存在意義」が訊かれています。一言でいえば、過誤登録の救済規定ですね。題意を取るのが簡単ではない設問ですが、設問(1)との繋がりで「登録主義の弊害を是正」する規定と考えると、先使用権は、その弊害(過誤登録による)への救済措置であることに気付きます。

 青本の32条にある「本条の存在理由は本来的に過誤登録の場合の救済規定である。すなわち、本条所定の未登録商標がある場合は、他人の出願は必ず四条一項一〇号に該当するはずだから他人の商標登録があるわけはないが、誤って登録された場合に、あえて無効審判を請求するまでもなく、その未登録周知商標の使用を認めようというのである。」をベースに再現すれば良いでしょう。

2.登録主義の弊害是正措置としての先使用権(32条)

 (1)周知商標と同一類似の商標は登録されない(4条1項10号)。

 (2)しかし、登録主義下では、過誤登録による周知商標の使用制限が起こり得る。

 (3)そこで、登録主義の弊害を是正するため、周知商標の先使用権を認めた。