平成26年改正 特許法 123条 第2項

【現行法】 特許無効審判は、何人も請求することができる。ただし、特許が前項第二号に該当すること(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由とするものは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者に限り請求することができる。

【法改正】 特許無効審判は、利害関係人(前項第二号(特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由として特許無効審判を請求する場合にあつては、特許を受ける権利を有する者)に限り請求することができる。

 無効審判の請求主体が、「何人」から「利害関係人」に変わります。H15年改正で異議申し立て制度を無効審判制度に包摂する際に、請求主体を広い方の異議申し立ての請求主体である「何人」として規定された経緯があります。

 H26年改正で、異議申し立て制度が復活しますので、それに合わせて、無効審判の請求主体も「もとに戻る」ことになります。注意が必要なのは、「もとに戻る」といっても、もともとあった条文が復活するということではありません。この点、青本123条の参考欄に関連記載があるので引用しておきます。

<青本19版123条、参考>  〈請求人適格としての利害関係〉

 旧法八四条二項は「無効審判ハ利害関係人及審査官ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得」べき旨を規定していたが、現行法においてはこれらの請求人適格に関する規定を削除した。

 旧法においては利害関係人という要件があるために無効審判においてしばしば利害関係の有無が争われ、この争いのために数年を要することも稀ではなかった。しかも、利害関係の有無が争われている間は本案の審理にははいらないのであるから、被請求人が利害関係についての争いを審理を遅延せしめるために利用することすらあった。

 H26年改正において、無効審判の請求主体を「利害関係人に限る」とする規定は、「新設(旧法は対象外)」されるというのが正解です。青本に記載されている「審理の遅延」という問題をどう捉えているのかについては、改正法解説書を待たなければ特許庁の見解は判りませんね。

 口述で訊かれる可能性があると思いますので、法改正の経緯と合わせて、現行法の要件を整理しておきましょう。