【東京地判平成06年02月24日】MAGAMP事件

 「被告は,本件商標と類似するイ号標章を,指定商品(肥料)と同一の商品である被告小分け品について,その出所表示機能及び品質表示機能等の自他識別機能を果たす態様で使用しているものと認められる。たとえ被告小分け品が原告販売にかかる本件商品(大袋)を開披してその内容物を詰め替えただけのものであったとしても,被告がイ号標章を被告小分け品に使用する行為はいずれも本件商標権を侵害するものといわざるを得ない。」

 「また,実質的にみても,本件商品のような化成肥料は,その組成,化学的性質及び製造方法に関する知識を有する原告や製造者以外の者がこれを小分けし詰め替え包装し直すことによって品質に変化を来すおそれが多分にあり,その際異物を混入することも容易であるから,被告の被告小分け品販売行為が許されるとすると,商標権者たる原告の信用を損い,ひいては需要者の利益をも害するおそれがあるので,被告の被告小分け品販売行為は本件商標権を侵害するものといわざるを得ない。」

 「当該商品が真正なものであるか否かを問わず,また,小分け等によって当該商品の品質に変化を来すおそれがあるか否かを問わず,商標権者が登録商標を付して適法に拡布した商品を,その流通の過程で商標権者の許諾を得ずに小分けし小袋に詰め替え再包装し,これを登録商標と同一又は類似の商標を使用して再度流通に置くことは,商標権者が適法に指定商品と結合された状態で転々流通に置いた登録商標を,その流通の中途で当該指定商品から故なく剥奪抹消することにほかならず,商標権者が登録商標を指定商品に独占的に使用する行為を妨げ,その商品標識としての機能を中途で抹殺するものであって,商品の品質と信用の維持向上に努める商標権者の利益を害し,ひいては商品の品質と販売者の利益もを害する結果を招来するおそれがあるから,当該商標権の侵害を構成するものといわなければならない。」