PLT対応の商標法改正?

2016年03月10日 19:42
 
 PLT(特許法条約)担保のH27改正は特許法、実用新案法までと考えるのが当然だと思うのですが、他法域(商標法)と関係があるのでしょうか?
 
 「期間徒過と救済規定」について改正された特5条3項の準用関係を見ると、この疑問が沸いてきます。
 
特許法
第五条
3  第一項の規定による期間の延長(経済産業省令で定める期間に係るものに限る。)は、その期間が経過した後であつても、経済産業省令で定める期間内に限り、請求することができる。
 
意匠法
第六十八条 特許法第三条、第四条並びに第五条第一項及び第二項(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。・・・
 
商標法
第七十七条  特許法第三条 から第五条 まで(期間及び期日)の規定は、この法律に規定する期間及び期日に準用する。・・・
 
 上記の通り、意匠法では特5条3項を準用していませんが、商標法では同項を準用しています。本商標法の改正(特5条3項準用)は、PLT対応でしょうか? この点、H27改正法解説書では触れられていません。
 
 それでは、他のPLT対応の改正条文である「特許料の納付主体の拡充」について見てみましょう。
 
特許法
第百十条 利害関係人その他の特許料を納付すべき者以外の者は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。
 
意匠法
第四十三条の二 利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料を納付することができる。
 
商標法
第四十一条の五 利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。
 
 上記の通り、意匠法、商標法では改正は行われていません。
 
 次に、「注意喚起」の規定について確認してみましょう。今回3つ(パリ優、外書、特管)の改正が行われましたが、意匠法、商標法共に「外国語書面出願」ありませんし、特許管理人の届け出(特184条の11)も関係ありませんので、パリ優(特43条)のみ検討する必要があります。
 
特許法
第四十三条
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
 
意匠法
第十五条 特許法第三十八条(共同出願)、第四十三条第一項から第四項まで、第八項及び第九項(パリ条約による優先権主張の手続)並びに・・・
 
商標法
第十三条 特許法第四十三条第一項から第四項まで及び第七項から第九項まで並びに第四十三条の三第二項及び第三項の規定は、・・・
 
 上記の通り、こちらも、意匠法、商標法では、特43条6項を準用していません。
 
 これらを根拠とはできませんが、PLT担保は特許法・実用新案法のみであり、(当然ながら)意匠法、商標法には及ばず、商標法で特5条3項を準用しているのはPLT対応ではなくSTLT対応と考える方が妥当ではないでしょうか。
 
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