2018論文本試・特許法・問題2

2018年07月22日 17:57

 「甲又は乙の特許法に関する誤解」に対する弁理士Aの正しい判断が(当然ながら理由と共に)求められおり、かつ、問われている事項の数が少々多いのが特徴的です。


 設問(1)は技術的範囲(70条)と利用関係(68条、72条)、設問(2)は実施行為独立の原則と実施行為(2条3項)、設問(3)は共有に係る特許権の行使および譲渡(73条)、設問(4)は損害の額の推定等(102条各項)の理解がそれぞれ必要となりますが、短答合格者であれば、特に苦労することなく「結論」を導くことができるでしょう。


 さて、この様な問題の場合、どこで「得点差」が生じるのでしょうか?


 一つは、「題意」即ち「出題者の意図」の把握です。


 例えば、設問(1)は「自己の特許権に戻づく実施は制限されることなく可能」に対する例外規定(72条)の理解が問われています。また、設問(2)は「他人の権利の存続期間中は製造のみを行い、満了後に販売を行うことに問題があるのか?」、即ち、「実施行為独立の原則」の理解が問われています。


 それぞれの設問の「題意」に沿った回答をできる限り行うことが得点差を生むことになります。


 次に重要になるのが「要件定立と丁寧な当て嵌め」です。


 要件定立をする方がベターですが特実法は時間が足らないため「直接当て嵌め」をする受験生も多いものと思います。今回の問題は「甲又は乙の誤解」を解消することができる「丁寧な当て嵌め」を行った答案の方が、より高得点を得ている可能性があります。


 今年度の問題(2)は判例や論点が無く条文ベースの問題です。通常よりも、ロジカルな「要件定立」→「当て嵌め」→「結論」の答案構成を心掛けることが重要です。


弁理士 論文ゼミ(目白ゼミ)