特79条は限定or例示列挙?

2015年04月30日 17:45

 H26年度の短答本試、第49問(第1枝)に「いわゆる先使用権(先使用による通常実施権)」の問題が出題されています。

1 甲の発明の内容を知らないで自らその発明をし、甲の特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている乙は、甲の特許出願の出願時にその出願の発明の内容を知っている場合であっても、先使用による通常実施権を有することがある。

 79条は「例示列挙」であることを理解できている受験生は、容易に解答することができたことでしょう。

第七十九条  特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。

 論文では「知得のルートの正当性」というキーワードでの当て嵌めをする受験生も多いと思います。「ルート」というよりは「ルーツが正当か否か」といった判断で解答を導くことを教わった受験生も居ることでしょう。

 「特許法は民法の特別法ゆえ限定列挙が原則」です。特79条はその例外の代表格で、その他には29条2項があります。

第二十九条
2  特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。



 短答の設問で「考案に基いて容易に発明をすることができた場合には進歩性は否定できない」といった出題がされた場合は、条文を厳格適用せずに解答しましょうね。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h26benrisi_tan/question.pdf