特→意の優先権は?

2015年12月30日 11:01
 パリ条約4条Eにおいて、他法域間の優先権の主張について規定されています。
 
(1) いずれかの同盟国において実用新案登録出願に基づく優先権を主張して意匠登録出願をした場合には,優先期間は,意匠について定められた優先期間とする。
(2) なお,いずれの同盟国においても,特許出願に基づく優先権を主張して実用新案登録出願をすることができるものとし,また,実用新案登録出願に基づく優先権を主張して特許出願をすることもできる。
 
 他のケース、例えば、特許出願に基づく優先権を主張して意匠登録出願をした場合はどうなるのでしょうか?
 
 このケースでは、パリ条約に規定がないので「各国の自由」となります。
 
 我が国では、意匠法審査基準にて、以下の基本的な考え方を採っています。
 
101.3.6 優先権の基礎となる出願が意匠登録出願及び実用新案登録出願でない場合
 特許出願に基づく優先権を主張して意匠登録出願をすることについては、パリ条約に規定はない。これらのパリ条約に規定されていない優先権主張の効果については、我が国において、それらの法域相互間の出願の変更が可能か否かに基づき判断する。
 
 そして、特許→意匠への優先権については、以下のように取り扱うとされています。
 
101.3.6.1 優先権の基礎となる出願が、特許出願である場合
 我が国においては、特許法と意匠法での法域相互間の出願の変更が可能である。したがって、特許出願に基づく優先権を主張して意匠登録出願をした場合、優先権証明書の中に我が国への意匠登録出願の意匠と同一の意匠が示されていれば、優先権主張の効果は認められる。
 
 審査基準は法律ではないので、この手の問題が出た場合は、審査基準の考え方を「借りて」、「自分の考えとして」結論および理由を記述すれば良いでしょう。
 
「カフェ勉」情報はこちら。次回、1月10日(日)、基礎編「特殊な出願(分割等)」です。
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