新規事項の削除補正は認められる?

2015年11月25日 21:23
 特許庁から「審判制度に関するQ&A」が公開されました。
 https://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/sinpan_q.htm
 
 拒絶査定不服審判請求時に「新規事項の追加とされた発明特定事項を削除する補正」の取り扱いに関するQ&Aが掲載されています。
 
 当該補正は17条の2第5項各号の一に該当しないとする説と、同項4号に該当する説があります。 
 
第十七条の二
5  前二項に規定するもののほか、第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第五十条の二の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一  第三十六条第五項に規定する請求項の削除
二  特許請求の範囲の減縮(・・・省略・・・)
三  誤記の訂正
四  明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
 
 Q&Aでは、「特許請求の範囲の拡張に該当するため」との理由で、「通常」は補正要件を満たさないと説明されています。
 
A9:審判請求時に新規事項の追加とされた発明特定事項を削除する補正をしても、通常、発明特定事項の削除は特許請求の範囲の拡張に該当するため、補正の目的要件(特§17 の 2⑤各号の要件)を満たさないものとされます。ただし、その記載のある請求項自体を削除する補正は可能です(特§17 の2⑤一)。 
 
 17条の2第5項の趣旨からすると「新規事項の追加とされた発明特定事項の削除補正」は審査(調査)のやり直しには繋がらないことが多いと思いますので、当該補正を認めても良いと考えられますが、特許庁運用ではこれを認めていないようです。
 
 Q&Aは法律ではありませんので、最後は、裁判所で決着が付く話になるかと思います。
 
「カフェ勉」情報はこちら。次回、11月29日(日)、基礎編(補正・補正却下)です。
https://www.mesemi.com/news/cafe%E5%8B%89-%E9%96%8B%E5%82%AC%E4%B8%AD%EF%BC%81/