改正不競法(行為に注目!)

2016年04月18日 19:14
 
 短答突破には「要件」の理解と暗記が必須ですが、不競法では「行為類型の要件」の理解が重要です。
 
 営業秘密の保護に関する改正が盛んに行われていることからも、特に「取得(領得)」「使用」「開示」のどの要件が課さているのかの理解と暗記が必要になります。
 
 関連する具体的な条文を挙げ、要件を確認して行きましょう。
 
第十五条  第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争のうち、営業秘密を使用する行為に対する第三条第一項の規定による侵害の停止又は予防を請求する権利は、その行為を行う者がその行為を継続する場合において、その行為により営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある保有者がその事実及びその行為を行う者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その行為の開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。
 
 消滅時効の規定ですが、要件としては「営業秘密を使用する行為」のみです。
 
第五条
3  第二条第一項第一号から第九号まで、第十三号又は第十六号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
三  第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 当該侵害に係る営業秘密の使用
 
 損害の額の推定等の規定についても「営業秘密の使用」行為についてのみです。
 
 それでは、H27改正で新設された、5条の2と、21条3項は、どう規定されているのでしょうか?
 
第五条の二  技術上の秘密(生産方法その他政令で定める情報に係るものに限る。以下この条において同じ。)について第二条第一項第四号、第五号又は第八号に規定する行為(営業秘密を取得する行為に限る。)があった場合において、その行為をした者が当該技術上の秘密を使用する行為により生ずる物の生産その他技術上の秘密を使用したことが明らかな行為として政令で定める行為(以下この条において「生産等」という。)をしたときは、その者は、それぞれ当該各号に規定する行為(営業秘密を使用する行為に限る。)として生産等をしたものと推定する。
 
 本条の要件は、「営業秘密を取得する行為に限る」とありますので、取得行為のみ対象(要件の一つ)となります。
 
第二十一条
3  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  日本国外において使用する目的で、第一項第一号又は第三号の罪を犯した者
二  相手方に日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をする目的があることの情を知って、これらの罪に当たる開示をした者
三  日本国内において事業を行う保有者の営業秘密について、日本国外において第一項第二号又は第四号から第八号までの罪に当たる使用をした者
 
 最後に、21条3項ですが、各号で行為類型が異なる点、注意が必要です。
  ・1号:取得、領得
  ・2号:開示
  ・3号:使用
 
 上記以外の行為としては、例えばドメイン名の「保持」等もあります。短答ではこれら「行為」を入れ替えて容易に問題を作ることができますので、注意して問題文を読み、「行為要件」の該否を判断するよう心がけましょう。
 
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