大合議事件の判決言渡しがありました

2014年05月30日 12:52

 9件目になる大合議判決の言い渡しがありました。特許権の存続期間の延長登録に関して、「先行処分」が存在する場合の事案です。審査と審判までは特許庁の判断基準に従って審理がされます。関連する審査基準を見てみましょう。


[審査基準] ②延長登録の出願に係る特許発明のうち、本件処分の対象となった医薬品又は農薬の「発明特定事項(及び用途)に該当する事項」によって特定される範囲が、先行処分によって実施できるようになっていた場合

 本件処分の対象となった医薬品又は農薬の「発明特定事項(及び用途)に該当する事項」を備えた先行医薬品又は先行農薬についての処分(先行処分)が存在する場合には、特許発明のうち、本件処分の対象となった医薬品又は農薬の「発明特定事項(及び用途)に該当する事項」によって特定される範囲は、先行処分によって実施できるようになっていたといえ、拒絶理由が生じる。

 

【先行処分】 用法及び用量として「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人には,ベバシズマブとして1回5mg/kg(体重)又は10mg/kg(体重)を点滴静脈内投与する。投与間隔は2週間以上とする。」とする医薬品製造販売承認

【本件処分】 用法及び用量として「他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,成人には,ベバシズマブとして1回7.5mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。」を追加することを主な変更内容とする,医薬品製造販売承認事項一部変更承認

 本件事案は、発明特定事項に「用途および用量」が限定されておらず、審査基準に示された先行処分が存在する場合に合致することになり、特許庁の結論としては拒絶査定・拒絶審決となったようです。

 弁理士の論文の試験問題としては、特定分野(医薬)の判例は公平性担保の観点から出題の可能性はそれ程高くはないと思いますが、大合議判決ですので、「用法・用量の限定がない特許発明」を対象として「用法・用量が異なる先行処分と後発処分」を想定した論述の準備をしておくのが良いでしょう。 (情報ソース