関連意匠制度の改正か?

2018年08月12日 07:33

 特許庁から「意匠制度の見直しの検討課題に対する提案募集について」が公開されました。
 https://www.jpo.go.jp/iken/180807_isho_seido.htm


 上記リンク先によれば「関連意匠制度の拡充」について、3つの論点が指摘されています。

①関連意匠の出願が認められるのは、本意匠の公報発行日前までとされている。本意匠の公報発行日後において関連意匠の出願を認めることについてどう考えるか。

②関連意匠にのみ類似する関連意匠の登録を認めることについてどう考えるか。
③関連意匠の存続期間をどのように設定すべきか(本意匠の存続期間に合わせるべきか)。


 今回は上記①を取り上げて、「関連意匠の現状と課題」について理解を深めましょう。

 まずは、条文の確認からです。


(関連意匠)

第十条 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(・・・かっこ内省略・・・)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、第二十条第三項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。


 「本意匠の公報発行日前まで」とした理由は、改正法解説書に記載があります。


改正法解説書(H18年改正)

⑴ 出願時期緩和の期間設定

 関連意匠の出願を認める期間については、出願人の便宜のために、関連意匠出願に関する相応の準備期間を付与する必要があるところ、本意匠の公報発行までの期間とした場合には、本意匠の登録査定の謄本送達までの期間に加え、謄本送達から登録までの期間及び登録から公報発行までの期間の時間的余裕があり、関連意匠出願に関する相応の準備期間を確保することができる。

 一方、本意匠が公報発行によって公知となった後も、長期にわたる関連意匠の後日出願を認めることとすると、関連意匠が出願されるまでの期間中に、類似する他人の出願意匠や公知意匠が介在して後日出願に係る関連意匠との間で抵触する可能性が高まり、第三者の監視負担の増加や権利抵触による紛争の増加が懸念される。

 こうしたことから、関連意匠の後日出願の期間については、本意匠の公報発行日前までの期間としたものである。


 ところで、本意匠の意匠公報発行後は、当該公報が引用され、関連意匠の出願は3条1項3号の拒絶理由を有することになりますが、なぜ、この規定「本意匠の公報発行日前まで」が必要なのでしょうか?

 それは、秘密意匠を想定しているからです。


(秘密意匠)

第十四条 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。


 すなわち、「本意匠の公報発行日前まで」の要件を外した場合、本意匠の出願人は、秘密意匠制度を利用する前提で、秘密請求の期間中、関連意匠を出願できることになります。現状の期間「登録日から公報発行までの数か月」が、「登録日から最長3年間」に延長され、関連意匠を出願し続けることができることになります。

 出願人にとっては、意匠権を取得できた意匠を中心に(本意匠として)、その後最長3年間の期間を使って、類似範囲(関連意匠として)への権利拡張が可能となり大きなメリットが得られます。

 改正に当たっては、出願人のメリットと併せて、第三者のデメリットを考える必要がありますが、この点は、皆様も是非考えてみてください!


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