金が黄金訴えた「とりから」そっくり包装で販売差し止め訴訟

2014年09月21日 23:03
 空揚げの専門店「金のとりから」を運営するシマナカが、「黄金のとりから」を販売するピーコックフーズに対し、シマナカが持つ商標権を侵害するとして訴えを提起しているようです。
 
 口頭弁論の詳細が不明なので、なんとも言えない部分がありますが、本事案は複雑です。簡単にまとめますと、以下になります。
シマナカ: 「金のとりから」を2009年に開業。現在、国内外で約20店舗を展開。
ピーコックフーズ: 「黄金のとりから」の商標を付した空揚げ用の鶏肉を露天商に販売。
露天商(複数): 「金のとりから」と類似した包装を使用。
 
 シマナカの登録証商標は2つあり、共に役務商標で、「金のとりから」の文字と図形からなる商標です。ネット上に公開されているような最終消費者が手で持つ「包装」容器の立体商標ではありません。従って、類否判断は包装全体ではなく「ラベル部分」で行う必要があります。 露天商の使用商標と登録商標の類否判断が必要ですが、「外観類似」として話を先に進めます。
 
【登録番号】 第5428398号  
【登録日】 平成23年(2011)7月29日  
【出願日】 平成23年(2011)2月9日  
【権利者】  
【氏名又は名称】 株式会社シマナカ  
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】  
 35 鳥の唐揚げの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 
 
【登録番号】 第5587592号  
【登録日】 平成25年(2013)6月7日  
【出願日】 平成24年(2012)12月14日  
【権利者】  
【氏名又は名称】 嶋中興産株式会社  
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】  
 43 鶏の唐揚げ・清涼飲料・アルコール飲料を主とする飲食物の提供 
 
 ここで問題なのは、「揚げた後のとりから」の包装容器に登録商標を使用しているのは「露天商」であって、ピーコックフーズではない点です。したがって、ピーコックフーズが販売する「揚げる前のとりから」の販売差し止めを求めていることも考えられます。この場合は、上記商品包装に付している商標「黄金のとりから(文字と図形商標)」と登録商用「金のとりから(文字と図形商標)」との類否判断になります。ピーコックフーズが販売する商品のラベルは登録商標に類似するとの判断が出る可能性はあります。
 
 しかし、「差止め」を求めているシマナカにとっては得策ではありません。なぜなら、ピーコックフーズはラベルを変更するだけで回避できるからです。シマナカのホームページには、「類似品・類似点にご注意ください ... お祭りなど、屋台での販売は一切しておらず『黄金のとりから』と弊社とは関係ありません。金のとりからは、左記の通り株式会社シマナカが商標を登録しています。」との注意書きが掲載されています。
 
 やはり、シマナカは、「露天商の使用」を差止めたいとの意向だと思われます。そうすると、記事には書かれていませんが本事案では、ピーコックフーズは「包装も含めて露天商に提供」していたのではないでしょうか? このように考えると、間接侵害(37条6,7号)の検討の余地が出てきます。
 弁理士の論文の勉強法としては、本事案で間接侵害(37条6,7号)の当て嵌めを行ってみると良いでしょう。普段なかなか見ない条文ですが、以下に示しておきます。この機会に、しっかり勉強しておきましょう。
 
(侵害とみなす行為) 
第三十七条  次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
六  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為 
七  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
 
(情報ソース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140920-00000031-spnannex-soci
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/09/20/gazo/G20140920008960330.html
http://www.shimanaka.co.jp/contents.php?id=97

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