補償金請求権の判例は?

2015年07月23日 19:31

 補償金請求権の判例といえば「アースベルト事件」ですよね。最高裁判例ですので弁理士試験には必須アイテムです。

 補正をした場合の「再警告」の要否についての判例となり、再警告の「要件」は2つ(新規事項の追加は除く)あります。

その補正が、願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において
 ①補正前の登録請求の範囲を減縮するものであつて、
 ②第三者の実施している物品が補正の前後を通じて考案の技術的範囲に属するときは、



 つまり、①減縮補正か?、②技術範囲に属するか? の2つです。
 
 アースベルト事件は、①②ともに「Yes」のケースとなります。②が「No」の場合は、再警告する状況にはありません(逆に謝罪が必要になるかと思います)。

 それでは、①が「No(ただし、新規事項違反なし)」、②が「Yes」の場合の「再警告の要否」についてはどうなるのでしょうか? さらに、①②ともに「Yes」ですが、当初明細書の特許請求の範囲が広すぎて、実施者が「到底権利化できない」と考えていた場合はどうなるのでしょうか?

 短答は「条文通りで切る」のが鉄則。論文は、結論はどちらでも良いケースがあり、重要なのは(得点源は)その理由付けになります。独自の結論を、しっかりとした理由と共に事前に持っておくことが重要です。

 なお、実務の場合は「安全サイドで対応」することが、クライアントへの対応としては適切と言えます。補正時に限らず分割時も「常に再警告」が原則でしょうね。

勉強会情報
https://www.mesemi.com/news/cafe%E5%8B%89-%E9%96%8B%E5%82%AC%E4%B8%AD%EF%BC%81/

アースベルト事件
https://www.mesemi.com/products/%E3%80%90%E6%9C%80%E5%88%A4%E6%98%AD%E5%92%8C63%E5%B9%B407%E6%9C%8819%E6%97%A5%E3%80%91%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6/