結合商標の類否判断

2017年02月05日 17:44

 結合商標の類否判断を論点とする出題への対策としては、「リラ宝塚事件」と「つつみのおひなっこや事件」の2つの判例を押さえておくことが必要です。


リラ宝塚事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/833/053833_hanrei.pdf

「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によつて称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによつて簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。」


つつみのおひなっこや事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/773/036773_hanrei.pdf

「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである。」


 両判決の理解はもちろん必要ですが、両者の関係理解(解釈)を示すことで、高得点が狙える可能性があります。


 一つの考え方として、商標法審査基準の改訂議論の中で、「矛盾の無い」考え方が示されていますので参考になるでしょう。

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/t_mark_wg_new22shiryou/02.pdf


「結合商標を、①不可分的に結合していない商標と②不可分的に結合されている商標の2つに分けた上で、①の場合がリラ宝塚事件の規範を適用する場面で、②の場合がリラ宝塚事件を反対解釈して、「商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されない」とした上で、このような場合であっても要部抽出ができる例外を認めたものがつつみのおひなっこや事件で示されたと解するものである。」


 共に最高裁判決ですので、弁理士試験において出題の可能性が高い判例と言えます。


 特に、論文対策としては、判決の結論と理由の再現力を高めておくことをお勧めします。


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