第2回悪意の商標出願セミナー

2014年09月10日 20:35

 悪意の出願を助長するかのような衝撃的なタイトルが目を引きましたが、実際は「我が国における悪意の商標出願への対応」に関するセミナーでした。

 資料の中で、日本国の商標法で規定されている「対応」規定が紹介されています。関連条文を列挙させる論文問題は、ハイレベルの問題になります。弁理士の論文の対策としては、「我が国における悪意の商標出願への対応条文を列挙し説明せよ」といった問題への準備を行っておくことが重要です。資料で挙げられているのは以下の7つです。

・商標の使用意思(3条1項柱書)
・公序良俗違反(4条1項7号)
・他人の名称等を含む商標(4条1項8号)
・他人の周知商標と同一・類似の商標(4条1項10号)
・出所の混同(4条1項15号)
・他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標(4条1項19号)
・代理人等による不正登録の取消(53条の2)

 事前に準備しておかないと、例えば3条1項柱書などは落としてしまいそうな条文ですね。真っ先に挙がるのは4条1項19号でしょう。論文に慣れてくると19号とセットで覚えている53条2も挙げられます。それから、19号が適用できないケースの「伝家の宝刀」と言われる4条1項7号も挙がってきます。あとは著名人の名称(著名性)へのただ乗りの4条1項8号も挙げられるでしょう。4条1項10号と15号を挙げるかどうか迷ってしまう人もいると思いますが、周知・著名商標の保護規定ですから挙げてほしい条文です。

 資料でも4条1項19号を中心にして、「審査の段階から悪意の出願を排除できている」との説明がされています。4条1項19号はH17年とH19年に出題されていますので、今後も注意すべき条文と言えます。

 「4条1項19号と53条の2」および「4条1項19号と4条1項7号」の関係を事前に整理しておくことをお勧めします。4条1項19号と53条の2の両方が適用できる事案、片方しか適用できない事案、4条1項19号は適用できないので4条1項7号を適用するしかない事案について、具体的な事例を自分で考えてみると、良い勉強になります。是非、やってみてください。 (情報ソース① 情報ソース②