次は「役務」立体商標か?

2015年04月24日 19:59

 H26年度の短答本試、第45問(第1枝)に「役務に係る立体商標」の問題が出題されています。

(イ) 商標登録出願に係る立体商標について全体観察した場合に、需要者によって、指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない場合、 当該商標は、その商標の使用により自他役務の識別力を獲得しない限り、商標登録を受 けることができない。

 商標法審査基準を勉強していれば、答えを導くのは容易にできたことでしょう。

<審査基準(3条1項3号)>
6.指定商品の形状(指定商品の包装の形状を含む。)又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない商標は、本号の規定に該当するものとする。


 なお、本基準は、最新版の審査基準(改訂第11版平成27年4月1日適用)でも変更はありません。

 さて、立体商標の問題は、H23年度の論文本試で出題済みですが、役務に係る立体商標については未出題です。「商品(包装)と立体商標」はイメージし易いですが、「役務と立体商標」は具体例を知らないと本番で戸惑うことになります。

 今後の論文本試では、「役務の提供の用に供する物」が立体形状として商標登録された事案が想定され、3条1項3号および4条1項18号の適用可否の判断を問われる可能性がありますので、具体例を想定して解答例を準備しておきましょう。

4条1項
十八 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標


 4条1項18号は、H26年度の「便乗」改正で「役務」が明記されました。改正前の条文は以下のとおりです。

[4条1項18号(H26改正前)] 商品又は商品の包装の形状であつて、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標

 難しい論点が無くなった反面、出題はし易くなっているとも考えられます。3条1項3号とのセットで4条1項18号もしっかり勉強しておくことをお勧めします。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/pdf/h26benrisi_tan/question.pdf