周知性の相違(ゼルダ事件)

2015年03月19日 18:29

 文言上は同一であっても解釈上異なる条文の理解は弁理士試験でも非常に重要です。最も受験生を悩ますのは、商標法の「需要者の間に広く認識」ではないでしょうか?

 いわゆる周知性の問題となります。この文言は、商標法上11回も出てきます。4条1項10号・19号、7条の2、32条、33条、47条、64条などです。

 H26改正に伴う審査基準の改訂により、地域団体商標7条の2の「需要者の間に広く認識」の解釈基準が変更されています。詳細はこちらを参照ください。
 http://www.mesemi.com/%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E3%81%AE%E6%9C%80%E5%89%8D%E7%B7%9A/newscbm_746402/2/

 関連して狙われそうな条文としては、4条1項10号と32条の「需要者の間に広く認識」、すなわち両者の周知性の相違についてがあります。

(先使用による商標の使用をする権利)
第三十二条  他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。


(商標登録を受けることができない商標)
第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
十  他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの


 通説は「32条の周知性の要件は4条1項10号よりも緩く解すべき」となっています。代表判例としては「ゼルダ事件」でしょう。「先使用権(32条)を認めた場合と認めなかった場合の両者の不利益」を比較しているところに特徴がある判決で、再現練習しておかないと、受験会場で少々混乱する可能性があります。判例趣旨(結論とその理由)の再現ができるよう事前準備しておくことが重要です。

【東京高判平成5年07月22日】ゼルダ事件
http://www.mesemi.com/products/%E3%80%90%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%AB%98%E5%88%A4%E5%B9%B3%E6%88%905%E5%B9%B407%E6%9C%8822%E6%97%A5%E3%80%91%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E4%BA%8B%E4%BB%B6/

 その他の理由付けとしては、「出願時に周知性が認められるならば無効理由を有することから32条の周知性は登録阻害事由(4条1項10号)の要件よりも緩く解すべき」とすることも可能かと思います。ただし、こちらの理由付けには、除斥時間経過(47条)の場合が考慮されておらず、やはり、ゼルダ事件の判決の方がベターだと思います。

第四十七条
 商標登録が第四条第一項第十号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)は、その商標登録についての第四十六条第一項の審判は、商標権の設定の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。


 筆力のある受験生は、両方書くのも良いかも知れません。

情報ソース
弁理士向けセミナー(アクセス制限があるためリンク情報は省略)

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