先使用権の消滅・放棄

2016年05月26日 21:07
 
 特許庁から「先使用権制度の円滑な活用に向けて ―戦略的なノウハウ管理のために― (第2版)」が公開されました。
 
 Q&A形式で「先使用権の論点」に関する解説(特許庁の考え方)が示されています。
 
 問12は「先使用権の消滅・放棄」に関してです。
 
「問12 いったん先使用権が成立した後に、その先使用権について、消滅又は放棄があったと裁判所に認定されることはあるのでしょうか。」
 
 この点に関し、以下の様に解説がされています。
 
「実施の事業の廃止、長期の中断は放棄に当たるとする学説もありますが、いったんは先使用権の成立していたことを認定した上で、この先使用権の放棄や消滅を明確に認定した裁判例は現在のところありません。」
 
 先使用権の消滅・放棄を認定した裁判例は現在のところは「無い」ようですが、解説はさらに続きます。
 
「 ただし、これに関連した裁判例として、東京高裁平成 13 年 3 月 22 日判決 (No.67-高)があり、「いったん事業の準備をしても、その後に事業を断念し、さらにその後に、新たに同一の事業をすることはあり得るのであり、その場合には、特許法79条にいう『その・・・準備をしている・・・事業』 との要件を欠くことになるため、先使用権を認めることはできない」と判示 しています。この判示から、特許出願の際の「事業の準備」は認められたと しても、その後にその事業を断念した場合には、さらにその後に、「事業の準備」を再開して、その事業を開始したとしても先使用権は認められないといえます。」
 
 「事業の断念」という要件を持ち出し、一旦、先使用権は発生したとしても、その後「事業を断念」した場合、更にその後に同じ事業を再開したとしても先使用権はすでに消滅・放棄しているとする考えです。
 
 資料では、更に、以下の判例が示されています。
 
「また、地球儀型ラジオ事件最高裁判決(最高裁昭和 44 年 10 月 17 日第二小 法廷判決(No.1-最))においても、下請業者との製造販売契約が解除された 結果、仮に実施事業が一時中止されたことがあったとしても、それをもって 直ちに事業が廃止され、先使用権も消滅するに至ったものということはできないことが判示されています。」
 
 事業の廃止(断念)がされた場合は、先使用権も消滅(放棄)するものと、特許庁は考えているようです。
 
 詳細は、特許庁公開資料をに当たって内容を確認してください。
 https://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/seido/senshiyou/index.html
 
「論文直前対策」を実施します。
お申し込みはこちらから(お試し参加は無料)。
http://www.mesemi.com/

お問い合わせ先

目白ゼミナール 東京都 新宿区 (JR目白駅) 三菱東京UFJ銀行(取引銀行) info@mesemi.com