主観要件の「当て嵌め」は何条?

2015年07月01日 21:41

 論述の基本形は「要件定立」「当て嵌め」「結論」ですが、その中でも「当て嵌め」の丁寧さが得点差を生むと言われています。

 さらに、当て嵌めの中でも、特に「主観要件」の当て嵌めの設問の場合、「積極的な当て嵌め」ができれば高得点が狙えます。

 以下、「主観要件の当て嵌め」が登場する代表的な条文を列挙しました。「主観」であることを意識して、答案構成時の留意点としてください。


1.「故意又は過失」
 「故意」は、4法共通の「損害の額の推定等(特102条など)」に現れる主観要件です。ただし、特許権等を侵害した者は、その損害の行為について過失があったものと「推定」する(103条)ため、「主観要件の当て嵌め」が登場する場面は限定されます。

 注意が必要なのは「意匠法の秘密意匠に係る意匠権」です。この場合、例外規定が置かれていますので、「故意(主観要件)の当て嵌め)」または「過失の当て嵌め」の場面が登場します。

(過失の推定)
意匠法第四十条  他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害については、この限りでない。


 その他、「信用回復の措置(特106条)」にも「故意又は過失」が要件となりますが、上記と同様です。


2.「故意に」
 「故意」と言えば、損害額の推定規定以外では、商標法の51条「不正使用取消し審判」でしょう。重要な要件となっているのはご存知ですよね。商標権者の不正使用を「推認」することができる問題設定の場合、「故意が認められるならば」という論述よりも、積極的に「故意が推認できる」とする当て嵌めを行うべきです。作問者の意図としては、「積極的な故意の認定」を求めているからです。


3.「不正の目的」
 商標法では、4条1項19号と、47条(除斥期間)で登場する要件です。4条1項19号については、商標法審査基準に、「不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱う」要件を規定されています。商標法審査基準にある、たとえば「造語」といった設問の場合には、「積極的な推認」の可能性を持って答案構成を行いましょう。

<商標法審査基準>
本号の適用に当たっては、①及び②の要件を満たすような商標登録出願に係る商標については、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認して取り扱うものとする。
① 一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。
② その周知な商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものであること。
 


4.「不正競争の目的」
 商標法の26条、32条、32条の2、33条の3、47条、52条の2で登場する「要件」です。「不正の目的」よりも競争関係が必要な分、狭くなりますが、上記同様に、積極的な「当て嵌め」の可能性を答案構成時に行うことをお勧めします。

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