パロディ商標の審査

2015年03月22日 21:00

 特許庁審判部から「審判実務者研究会報告書2014」が出ました。

 報告書では「審判実務上重要と思われる審判決事例について,専門家による研究を行い,その成果を広く公表することといたしました。」とあります。詳細はリンク先をご覧ください。

 以下では、いわゆる「パロディ商標」について、報告書で取り上げられているポイントを記載しておきます。

第18事例
平成24年(行ケ)第10454号 審決取消請求事件
知的財産高等裁判所平成25年6月27日判決言渡


 「PUMA」の商標権者が「KUMA」の商標登録に対する無効審判を請求し、当該審決に対する取り消しが争われた事件についての研究です。

 報告書の研究では以下の指摘や見解が示されています。

1.4条1項7号適用の妥当性について
 フリーライド,ダイリューションを根拠として 7 号を適用した過去の事例の存在を否定するわけではないが,フリーライド,ダイリューションの予防も趣旨とする 4 条 1 項 15 号,19 号で処理が可能なものである限り,安易に 7 号が適用されるべきではないように思われる。7 号の適用による商標登録の取消,無効は予見性が低いため,7 号の適用場面が増加することは,判断の安定性を損なう可能性がある。


2.4条1項15号の該当性判断(混同を生ずるおそれ)について
 パロディは,そもそも基となる商標等が想起されることを前提としており,パロディであることがわかる(識別される)必要がある。しかしながら,審査にあたっては,パロディかどうかをもって拒絶理由を判断すべきではない。パロディに該当する・しないに関わらず,出願に係る商標が 3条,4 条 1 項の法律要件に該当するかどうかを考えるべきである。


 なぜ、無効理由の根拠条文を4条1項7号と15号(46条1号)のみとしたのか定かではありません。4条1項10号と19号の適用可能性もあったと思います。

 弁理士試験でも周知商標保護を目的とした事案の検討順は、4条1項10号→15号→19号→7号と挙げていくことが多いと思います。

 報告書でも「審査にあたっては,パロディかどうかをもって拒絶理由を判断すべきではない。パロディに該当する・しないに関わらず」登録要件の該否判断をすべきとされていますので、少なくとも審査段階の事案では、パロディ商標であることを考えずに、通常の検討を行えば良いことになりそうです。

情報ソース
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/pdf/sinposei_kentoukai/h26_houkokusyo.pdf

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